今日、5/20はジーンズの誕生日。
約150年前、1873年の今日、JACOB DAVISによってリーバイ社に持ち込まれたリベテッドパンツのパテントが認められ、ジーンズの原型が正式に誕生しました。
初期のリベット。
PAT.MAY1873と刻印されています。
打ち機の登場は1900年代になってからのため、リベットを鉸めるのは手作業。表に突き抜けたアンダーパーツが円盤状に大きく潰れ、気泡のような凹み発生しているのが手打ちの特徴です。
現在の打ち抜きタイプのリベットを手打ちで叩いてもこの気泡のような凹みは出来ないので、他に何か理由があるはず。別の機会に調べてみたいと思います。
ここで以前実物に触れる機会があった1900年初頭のお宝ジーンズの画像を紹介させて頂きます。( ご厚意で写真を撮らせて頂きました)
私史上、現物を見て触れた最古の1本で、オーラ半端なかったです。。。
リベットから『PAT.MAY1873』の表記は無くなっています(理由は後述します)が、 リネン製のラベルには、このリベテッドパンツを開発したのがリーバイスであることが『 PATENTED MAY 20.1873』と高らかに謳われています。
NO.2ラインはその名の通りセカンドライン。
あまりいい言葉ではありませんが、日本語でいうと廉価版ってやつです。資料からその存在は知っていましたが、この機会に勉強してみると、このセカンドラインの登場はリベットの特許と大きな関係がありました。
当時のアメリカの特許の有効期間は17年。つまり1890年にはJACOB DAVISの特許が切れ、誰でもリベットを使用した衣料を販売できるようになってしまいます。競合他社の参入と価格競争に備えて1880年代にラインアップされたのがこのNO. 2ラインだった訳です。
501登場以前、1890年頃のリーバイス社の価格表によると、XXのウェストオー バーオールズが8.5ドルだったのに対し、No.2ラインは7ドル。生産拠点がグローバルに広がり、ジーンズにも大きな価格差が生まれた現代的な感覚で言うとちょっと微妙な設定ですね。
ある試算によるとこの頃の1ドルは現在の25ドルに相当するようなので、No.2ラインですら今でいうプレミアムジーンズ!!
19世紀後半のアメリカを研究した別の論文には当時の平均年収が 650ドルとあるので、もしかしたらその頃のジーンズはもっともっと高い感覚だった可能性もあります。
創成期のジーンズは、ウェストオーバーオールズの名にある通り、普段着ではなく、あくまで特殊な作業着だったことが伺えますね。
折角なのでその他のディティールもご紹介。
環縫いミシンは開発されていないため、すべて本縫い。強度をあげるための細かい運針。アモスケーグ社製と思われる白耳のブルーデニム。
一筆書きのアーキュエイトステッチ、ポケット口はシングルステッチ。
トラウザー仕立ての要素を強く残した腰回りの縫製仕様。
折り伏せで処理されたヨークと尻の縫製、変形落としミシンの帯付け、サイズ調整用?のバックセンターの切り替えなどなど。
細かいサイズ調整は尾錠で行い、サスペンダーで吊るして履くためベルトループもなく、 まだまだ今のジーンズとは趣が違いますね。
WHITE OAKの生地を使った自己所有の1890と1915モデルの本家アメリカ製レプリカ。
あちこちのディテールの完成度は、まぁ、、、って感じですが、当時に想いを馳せながら久しぶりに履いてみようと思います。
ライトオンスで意外に夏場良いかも。