Lee 101-J

この春入手した101-Jです。

ほぼダメージの無い、糊の匂いが残るミントコンディションの一着をかなりリーズナブルなプライスで落札することができました。


通称、Lee。

正式名称はH.D.Lee Company、1889年設立。

デニム分野への進出はリーバイスより遅く、ワークウェアの自社生産に乗り出したのは1911年ころとの事。1920年代に生まれた101、101Zは有名ですが、1930年代にかけて続けてロンチされた3スタイルのジャケット、なかでも1931年にロンチされた101-Jは不朽の名作と言って良いアイテムだと思います。

 

入手した個体は、赤タグと呼ばれるもので、品番とサイズ表記の文字がLee同じ金色のタイプ。

Leeの文字が一筆書きになっているので、60年代に入って三角タグに移行する僅かな期間に製造された50年代後半の個体だと分かります。

かなり危うい感じで縫い付けられているポケットフラップのピスネームには、もちろん『R』も『MR』もなし。

 

この個体を購入した大きな理由は、背面に施されたこのインパクトのある刺繍です。

引きで見るとフロッキープリントかと思うほど非常に密に施されたチェーン刺繍。手間を厭わないこの仕上げは50年代のリアルビンテージならではで、まさに一目惚れでした。

本格的なオーケストラにデニムジャケットはさすがに無いと思うので、きっとウェスタンなイベントなどを中心に活動したオーケストラグループだったのかなぁ、など想像を膨らませています。

フロントにはNickとあります。コンディションの良さ、特に偏ったダメージもない事から、このオーケストラのコンサートマスター用の一着だったのかも知れません。

以前ストームライダーをとりあげた際も触れましたが、101-Jについて特筆すべきはデビューした1931年から基本デザインがほとんど変わっていないこと。同時期、ライバルであるリーバイスの506XXは、シンチバックに貼りポケ一つの仕様。50年代の507XXでようやく貼りポケ二つ、ウェストの調整がシンチバックからアジャスターに変更になります。さらにフロントポケットが切り込み仕様になるのは557XXがデビューする60年代まで待つことになるのですから、101-Jと同じような仕様に落ち着くまで30年掛かったということになります。

80年代から90年代にかけてのビンテージブームの頃、もちろんLeeの存在は知っていましたが、当時はなかなか選択肢に入らないブランドでした。自分の中でリーバイス至上主義みたいなものがあったのも事実ですし、自分だけでなく当時の市場のムード自体がそうだったように記憶しています。またその独特なデザインが醸し出すムードに野暮ったさを感じずにはいられませんでした。しかし今、この時代のLeeの先進性を知れば知るほど、自分の中でこのブランドが熱くなっています。大人になって蕎麦の美味さに目覚める感じですかね(笑)

ほんの数年前まで、Leeのビンテージは同年代のLEVI'Sに比べると、1/3以下、、、うまく探せば1/10くらいで入手できる感覚でした。今は70年代以前の古着の相場アップと、Lee自体も徐々に注目されだしたのか、さすがにそこまでの価格差では見つけられなくなって来ています。このジャケットを入手したのは春先で、同時代の557〷と同じようなコンディションで考えるとおよそ1/5くらいの価格でしょうか。定期的にオークションサイトをチェックしていますが、9カ月ほどたった今、Leeも加速的に相場が上がっていますので、極近い将来、安易に買えないアイテムになってしまいそうですね。。。

 

101-Jを購入した勢いで、100-Jもコレクションに加えたのですが、こちらはまたの機会にご紹介したいと思います。